JARI 一般財団法人 日本自動車研究所

報告概要

2014/07/10


乗用車等の排出ガス・燃費国際調和試験法(WLTP)の動向とJARIの取り組み

エネルギ・環境研究部 羽二生 隆宏

国際連合の自動車基準調和世界フォーラム(WP. 29)において、乗用車等の排出ガス・燃費国際調和試験法(WLTP)に関する世界統一技術規則(GTR)が、本年3月に成立した。我が国は、技術的検討に参画し、試験サイクル作成に関して積極的に貢献している。JARIが試験サイクル作成に関する調査に取り組んだ経験から、これまでの検討経緯や国内現行試験方法との相違点などを紹介する。

車載式排出ガス分析計(PEMS)を用いた排出ガス評価法の動向とJARIの取り組み

エネルギ・環境研究部 相馬 誠一

近年、市場を走行する使用過程車の排出ガス低減の必要性が検討され始めており、欧米では車載式排出ガス分析計(PEMS)を用いて、実路走行時の排出ガスを測定する試験法(PEMS試験法)が注目されている。国内においても、環境省中央環境審議会第11次答申にてPEMSを用いた使用過程車の排出ガス実態把握の必要性が指摘されている。JARIでは、適正な測定・評価方法を検討するため、PEMSを用いた調査に取り組んでおり、重量車の調査例を中心に紹介する。

次世代自動車(電動車両)の安全性に関する基準動向とHy-SEFの取り組み

FC・EV研究部 三石 洋之

水素・燃料電池自動車をはじめとする次世代電動車両の安全基準として、バッテリーシステム、水素貯蔵システム、燃料電池システム、水素・電気安全等に関する2つのgtr(国連基準)の策定作業が活発に進められている。JARIでは、それらの基準策定のためにHy-SEFを用いたデータ取得を進めるとともに、特に高圧ガス保安法を対象とする水素貯蔵システムの国内審議をJARIが担当することになっている。そこで、一連の研究成果と基準調和活動について紹介する。

安全・安心なEV・PHV充電インフラ整備に向けた取り組み

FC・EV研究部 黒田 英二

EV・PHVの更なる普及に向けて、政府や自治体による充電インフラ整備とともに、民間による設置支援、設置計画発表などの活動が活発化している。自宅や外出先での充電は新しい車社会のスタートである一方、様々な製品が流通する中でユーザーが安全かつ安心して利用できる必要がある。JARIでは、普通充電器に関して車両との接続互換性に関する研究や第三者製品認証事業を行っており、その取り組みの一部を紹介する。

JARIの活動概要

企画・管理部 小口 誠

最近のJARIの活動概要として組織体制、事業規模、各分野の主な事業等を紹介するとともに、事業拡大として取り組んでいる受託拡大について紹介する。

人と共存するロボットの安全性評価に関する研究

ロボットプロジェクト推進室 藤川 達夫

介護・福祉等の分野で、ロボットを人の生活に導入する試みが始まっている。産業用と異なり、人と共存するロボットでは、安全に関する新たな評価方法が必要なため、JARIは、NEDO「生活支援ロボット実用化プロジェクト」および経済産業省「ロボット介護機器開発・導入促進事業」に参画して、研究を続けてきた。自動車分野等における知見の活用に加えて、新たな安全試験方法および評価指標に関する研究成果を紹介する。

運転支援技術の高度化に向けたドライバ特性研究への取り組み

安全研究部 内田 信行

交通事故の大半にヒューマンエラーが関与していることから、運転支援技術の高度化にはドライバの特性をより詳細に理解することが必要である。特に、事故やニアミス直前における運転行動の分析は、交通事故の危険性を事前に予測すると共に、適切な事故防止対策・運転支援方法を開発するために不可欠である。本報告では、模擬歩行者飛び出し実験における緊急回避運転データによるドライバモデル検討について紹介する。

AEB(Autonomous Emergency Braking)評価試験への取り組み

安全研究部 若杉 貴志

ここ数年、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)装置の普及が急速に進んでいる。大型車では本年11月の新型車から装着が義務化され、乗用車についても本年度から自動車アセスメント(JNCAP)での評価が開始された。当研究所は、これらAEB試験法や評価法の策定に貢献するとともに、試験受け入れに向けた準備を進めてきた。ここでは、JNCAPでの実施内容を例に、AEB評価のための試験設備、試験内容、評価方法等について紹介する。

自動走行技術開発への取り組み

ITS研究部 谷川 浩

JARIでは、2012年度までのエネルギーITS推進事業を通じて、トラック4台による時速80km、車間距離4mでの自動運転・隊列走行を技術を開発し、産業車両への応用・実用化を図っている。一方、クルマの自動走行が現実のモノとなってきた今、その「目的」が何よりも重要であり、政府を筆頭に様々な検討が進められているところである。JARIは産官学の中立的な立場から関連事業に積極的に貢献する責務を担っており、本報告ではその取り組み方針や内容について紹介する。

自動車用機能安全規格ISO 26262に対するJARIの取り組み

ITS研究部 長谷川 信

2011年にIS化された自動車用機能安全規格 ISO 26262 に対し、JARIでは同年より国内OEM 9社、サプライヤ17社からなる「ISO 26262共同研究」活動を実施している。この活動において自動車業界における機能安全に対する規格の共通解釈/理解を形成すべく、議論を実施し、その成果を昨年および本年2月に開催した「共同研究WG成果報告会」において公表し、知見の共有化を図っている。さらに、2013年2月には開発者目線にたった教育・コンサルティング事業を推進している。本報告では、ISO26262 共同研究活動と機能委安全教育・コンサルティング事業について紹介する。

外部と『繋がり始めた自動車』のセキュリティ動向

ITS研究部 伊藤 寛

テレマティックス、スマートフォンの普及に加えて、世界各国でV2X通信システム等の開発が進んでおり、クルマが外部と通信等で繋がる機会が増えると見込まれている。また、その一方では、クルマと外部との通信だけでなく、自動車内でのLANに関するセキュリティの動向にも注目が集まっている。こうした状況の中で、今回の報告では、主に自動車のセキュリティに対する海外の取り組みについて、関連する国際標準化動向も含めて紹介する。


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