JARI 一般財団法人 日本自動車研究所

JARIシンポジウム2022お申込みのご案内

2022/11/01


ハイブリッド開催:リアル会場&ライブ配信

 自動車業界では近年,百年に一度の変革期と言われるCASEや2050年カーボンニュートラルの目標達成のための技術革新を迎え,デジタル技術の活用が必須になっていると考えられます。
 最近の動きとしては,経済産業省が主導したSURIAWASE2.0活動を経てJAMBE(MBD推進センター)が設立されました。これにより,モデルベース開発とモデル流通を加速させる仕組みが整備されつつあります。
 JARIにおいては、ここ数年,2017年のJtown(自動運転評価拠点),2018年の環境型シャシダイナモメータ,そして今年7月に国内初のADAS専用試験場の竣工など,リアルな試験環境の充実を図ってきた一方で,デジタル技術を活用した研究や試験法,評価法開発も推進してきております。JARIは長期運営方針・研究事業戦略の共通基盤としてデジタル技術の強化を掲げており,その活用により自動車産業界および社会へ貢献することを目指しています。
 本シンポジウムでは,自動車産業界におけるデジタル技術活用の動向と将来の展望について,様々な視点よりご講演を頂きます。プログラムは,第一部として慶応大学の白坂教授から宇宙開発等での先進例のお話と,産学官各界の第一人者から最新動向をご紹介頂きます。次に,JARIから研究の取組みを紹介し,第二部では自動車メーカーやTier1サプライヤーなどからの最先端の事例をご紹介頂きます。
 今後のモビリティ研究開発におけるデジタル技術活用の視点,また,中立機関としてのJARIが果たすべき役割・取組みについて議論を深めることができれば幸いでございます。
 ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。


プログラム

時間 内容 登壇者
10:00~10:05 主催者挨拶 JARI
代表理事 研究所長 鎌田 実
10:05~10:50
第一部:【特別講演】新たな社会・産業を実現するためのデジタルシステム技術

AI、IoT、通信などの技術の進化により、ビジネスだけでなく、社会・産業も大きく変革の時期を迎えている。Society5.0時代には、これまでとは異なった考え方での実現方法論が必要となる。つまり、「デジタル技術」を「デジタルシステム技術」まで広げて捉えなければならない。本講演では、現在起こりつつある社会・産業構造の変化について事例を用いながら解説するとともに、新たな社会・産業構造をデザインするために必要となるデジタルシステム技術としてのデジタルアーキテクチャとMBSEの必要性について説明する。

慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科
教授 白坂 成功氏
10:50~11:15
【基調講演1】自動車産業におけるデジタル活用に向けた取り組み

自動車産業においては、近年のCASE革命を受けて、GXのみならずDXに向けた動きが加速している。経済産業省では、自動車の開発、調達、生産、販売、利用、廃棄等の段階すべてにおいてDXを促進するため、サプライチェーン・バリューチェーンに渡るデータ連携基盤の構築、MBDの推進、AD/ADASに必要なセンサー・ソフトウェアの開発支援や自動運転の実証事業の実施、デジタルツインを活用したAD/ADASの安全性評価基盤の構築、モビリティデータの活用等の必要な措置を講じている。  本講演では、これらの国の取り組みについて概要の説明をする。

経済産業省:自動車課ITS・自動走行推進室
室長 福永 茂和氏
11:15~11:40
【基調講演2】学におけるモデル開発とその活用事例:ハイブリッドパワートレイン,エンジン及び触媒モデルの連成による冷間始動エミッション改善

学におけるモデル開発とその活用事例をハイブリッドシステム搭載車両を題材に概説する。具体的には、4軸シャシダイナモメーターを用いた車両実験・解析からSURIAWASE2.0をベースとしたパワートレインモデル,過渡運転時の排出ガス特性を再現するエンジンモデルを構築し,三元触媒モデルと連成した。そして,電気加熱触媒(EHC:Electrical Heating Catalyst)により、排出ガス性能と燃料消費量の同時改善を実現する手法を検討した。最後に学の立場から、今後のモデルベース開発の展望について解説する。

早稲田大学大学院創造理工学研究科総合機械工学専攻
教授 草鹿 仁氏
11:40~12:05
【基調講演3】日本の自動車産業の競争力強化を目指す MBD(Model based Development)の意義

大変革の時代に日本の自前主義が弱点になっている。そこで協調領域の拡大を図るべく自動車内燃機関技術研究組合(AICE)などの発足に続きモデルベース開発(MBD)を業界全体で推進するべくMBD推進センターが設立された。業界全体に普及するためにMBDの効能の大きさを広く認知させ、新規参入者なども相次ぐ自動車業界におい今後生き抜くためにMBDがその原資提供の可能性を秘めていることに触れ、今何が必要か私見を述べる。

マツダ株式会社
シニアフェローイノベーション 人見 光夫氏
12:05~12:20 第一部 総合討論 第一部講演者一同
12:20~13:20 お昼休憩
13:20~13:40
【JARI研究事業戦略】JARIにおけるデジタル技術力強化の取組み

JARIでは、研究事業戦略の基盤技術として、強みであるリアル試験の充実に加え、デジタル技術力の強化を掲げている。研究・試験では、これまでもシミュレーションを活用して推進している。また、NEDOのグリーンイノベーション基金事業で「電動車等省エネ化のための車載コンピューティング・シミュレーション技術の開発/電動・自動運転車開発を加速するデジタル技術基盤の構築」を受託し本年9月からFY28までの予定で事業を開始した。本講演では、これらのリアルとデジタルの両面でのJARIの取組みを紹介する。

JARI
業務執行理事 土屋 賢次
13:40~13:55
【JARI1】OpenModelicaを用いた車両燃費シミュレーションモデルの構築

自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)における事業の一環として、環境研究部では内燃機関、排気後処理デバイスおよび車両等に関する研究事業の推進ならびにシミュレーションモデルの構築を実施しており、併せてモデル講習会の開催やユーザサポートといったMBD普及に向けた各種活動を進めている。本講演では、MBD事業の一例としてOpenModelicaを用いて構築した車両シミュレーションモデルについて概説し、本モデルを用いたMBD活用事例ならびに今後の展望について紹介する。

JARI 環境研究部
研究員 松本 雅至
13:55~14:10
【JARI2】衝突安全分野におけるデジタル技術活用研究の紹介

衝突安全に関する研究は、JARIの中心的な活動の一つとなっている。JARIでは、世界中から衝突事故による人身被害がなくなることを目指し、これまで、実験に加えデジタル技術も活用しながら,衝突事故においてどのように人が傷つくのかを理解し、そしてそこからどのように人を守り、命を救うのかということについて探求してきた。本講演では、JARIの衝突安全研究において、デジタル技術を活用してきた研究事例を紹介する。

JARI 安全研究部
主任研究員 佐藤 房子
14:10~14:25
【JARI3】Jtownリアル環境整備とバーチャル環境構築を目指して

自動運転車や電動車の開発、検証において、MBDが取り入られている状況にある。実機の試験を中心として構築したJtownにおいても、実機とモデルが検証できる場としての活用が見込まれ、かつ、NEDOのグリーンイノベーション基金事業においても、リアルとバーチャルの精度を担保し、OEM、サプライヤーが利用可能な車両モデルを構築することが求められている。そのため、テストコースであるJtownのバーチャル環境が必要となっている。本講演では、Jtownのバーチャル環境化について、今後の方向性を紹介する。

JARI 自動走行研究部
主任研究員 高山 晋一
14:25~14:40
【JARI4】自動運転移動サービスの安全性検討と社会受容促進におけるデジタル仮想化技術の活 用

無人自動運転車を安全かつ現実的なコストで走行させるためには、技術開発だけでなく、走行環境やルールの整備、社会受容性の確立などの課題がある。新モビリティ研究部では、自動運転移動サービスの実用化と普及に向けた取組みの一つとして、サービスの提供者側と利用者側間で適切な安全走行・運行に関する合意形成を支援する手法を構築している。具体的には、自動運転車の走行環境を仮想空間上で擬似的に体験するシステムを通じて自動運転移動サービスの長所と短所を視覚的に理解できることで、社会受容性の向上に資すると期待される。本講演では、これらの取組み概要について紹介する。

JARI 新モビリティ研究部
主席研究員 赤津 慎二
14:40~14:55 質疑応答 JARI1~4
発表研究員
14:55~15:05 休憩
15:05~15:25
【講演テーマ1】Hondaにおけるデジタルを活用した自動車開発プロセスのご紹介

近年の自動車をとりまく環境の急激な変化から、自動車開発においては求められる機能要求の複雑化、また性能要求の高度化が顕著である。従来型の実機での検証を主体とした開発では、品質を担保しながらタイムリーに商品をお客様にお届けする事が困難である。Hondaではこの状況に対応する為に、開発上流での設計の強化が重要性であると考えている。本講演では、上流での設計を強化した開発プロセスと、プロセスを支えるデジタル活用の一例について紹介する。

本田技研工業株式会社 四輪事業本部
ものづくりセンター 開発戦略統括部
開発プロセス改革部 開発プロセス課
課長 チーフエンジニア 大久保 宏祐氏
15:25~15:45
【講演テーマ2】日立Astemoのモデルベース開発手法への取り組み(仮)

日立Astemoでは、2000年頃からモデルベース開発手法(MBD)を車載制御ソフトウェア設計に適用し、2005年から量産開発に適用している。MBDの拡張として、マイコンモデルを利用したシミュレーションにより車載制御ソフトウェアを検証する技術を開発してきた。本講演では、これらの取り組み内容のご紹介する。さらに、国内でのMBD普及促進活動として参加しているJMAAB(Japan MBD Automotive Advisory Board)の概要についてもご紹介する。

日立Astmo株式会社 技術開発統括本部 次世代モビリティ開発本部 システムアーキテクチャ開発部
マネージャー 深野 善信氏
15:45~16:05
【講演テーマ3】拠点間連成シミュレーションによる開発・設計のデジタル変革

自動運転や電動車の設計開発の多くがモデルベース開発にシフトする中で、走行性能、燃費/電費、熱、振動、制御といった従来は個別実施されていたシミュレーションから、 これらを組み合わせたマルチドメイン・シミュレーションが必要な機会が増えている。これに伴い、OEMとサプライヤ、あるいは、複数の設計チームや拠点をまたいでシミュレーションをつなぐための仕組み、 標準プロセスや標準規格の議論が国内外で活発化している。本講演では、講演者が参加する欧州のprostep ivipの活動を紹介するとともに、拠点間連成シミュレーションの実施例とこれを実現するためのツールの動向を説明する。

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部
スマートマニュファクチャリングソリューション第二部
フェロ― 荒木 大氏
16:05~16:25
【講演テーマ4】コネクティド環境におけるパワートレイン最適化のためのモデリングと制御手法

コネクティド環境の下、V2X情報のオンボード・パワートレイン制御への活用によるエネルギー効率最適化問題に注目が集まっているが、トラフィック環境やドライバーの挙動における不確かさがモデルベースの最適化アルゴリズム設計と検証にとって、重要な課題になっている。本講演では、数理モデリングと強化学習手法を用いて、外部環境とパワーディマンドの遷移状態予測とそれを拘束条件とするリアルタイム最適化、及び大規模車群の統計的挙動のモデリングと最適化アルゴリズム設計について、具体例を交えて紹介する。

上智大学理工学部機能創造理工学科
教授 申 鉄龍氏
16:25~16:40 第二部 総合討論 第二部講演者一同
16:40~16:45 閉会挨拶 JARI
代表理事 専務理事 一色 良太

※プログラムは都合により変更になる場合がありますので予めご了承ください。
※本シンポジウムは、著作権および情報保護のため、視聴者による記録行為(録音・録画・スクリーンショット等)は固く禁止といたします。
※シンポジウムの妨害やプライバシー侵害を招く恐れのある行為を禁止いたします。


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