プローブ情報システムは、車両を自動車交通の触覚(プローブ)とみなし、車両のもつ様々なセンサーデータをリアルタイムな情報として収集、加工し、車や社会全体に提供するものである。プローブ情報には個人情報が含まれており、プローブ情報の収集にあたって個人情報保護のしくみを構築する必要がある。本研究開発事業は、次世代インターネット技術を用いたプローブ情報システムにおけるプローブ情報収集用車載機(以下、車載機という)に関して、個人情報保護のしくみを技術的対策と運用管理面の両面から検討し、国際標準化提案を行うものである。
平成16年度は、平成14年度から開始した本研究開発事業の最終年度であり、今迄の活動成果が国際標準化提案として承認されることを目標として実施して来た。そのために、フィールド評価用プローブ情報システムの開発、評価では、昨年度ISO/TC204/ WG16/SWG16.3においてプローブ情報サービスにおける個人情報保護の重要性を説明した際に議論となったアプリケーション層、コミュニケーション層のセキュリティ対策の必要性、車載機、ネットワーク、情報センターの各々における個人情報保護の技術的対応、プローブ情報自体の匿名化を整理した。プローブ情報サービスにおける個人情報保護のガイドラインの作成では、関連する海外個人情報保護法の法文化的背景、概念等を調査し、また国内関係省庁から官報告示された、個人情報取扱事業者が行う個人情報の適切な取り扱いの確保に関する活動を支援する具体的な指針を参考に、昨年度作成したガイドラインを補充した。
国際標準化提案ではPWI(Preliminary Working Item)提案として「プローブ情報サービスにおける個人情報の保護のための基本原則(The basic principles for personal data protection in probe vehicle information services)」をまとめた。国内においてはTC204技術委員会、ITS標準化推進委員会に諮り、更に国際のISO/TC204/WG16の会議(8月開催)で説明し、10月のISO/TC204総会(北京)にて承認された。
国内、国際における検討組織が固まり、平成17年10月にNP(New Work Item Proposal)提出を目指して活動を展開している。プローブ情報サービスは未だ定着したサービスに至ってなく、国により、人により思いが異なるため、各国の齟齬がないようことばの定義から明確にし、意識合わせを行うことが標準化の進展を早める課題と考える。
1.まえがき
2.要約
3.委託業務実施計画
4.実施結果
第1章 フィールド評価用プローブ情報システムの開発
1.1 概要
1.2 ガイドラインに基づく技術的対応
1.3 ネットワークにおける対応
1.4 車載機における対応
1.5 情報センターにおける対応
1.6 プローブデータ自体への対応
1.7 層別での対応機能の整理
第2章 プローブ情報サービスにおける個人情報保護のガイドラインの見直し
2.1 概要
2.2 ガイドラインの適用範囲の検討
2.3 ガイドライン解説の拡充
第3章 プローブ情報システムのフィールドでの評価
3.1 概要
3.2 実験環境
3.3 モニタリング機能の評価
3.4 プローブ情報送出停止機能の評価
3.5 プローブデータ匿名化処理の評価
3.6 収集機能におけるセキュリティ機構の評価
3.7 トラップによるプローブ情報送信機能の評価
第4章 国際標準化の準備
4.1 概要
4.2 海外における個人情報保護動向の分析
4.3 国際標準化活動(1) PWI(Preliminary Working Item)の承認
4.4 国際標準化活動(2) NP(New Work Item Proposal)の提案に向けて
5.結論
6.あとがき
7.参考文献
付録1 個人情報保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン
付録2 電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン
(平成16年8月31日総務省告示第695号)の解説
付録3 SAFE HARBOR PRIVACY PRINCIPLES & FREQUENTLY ASKED QUESTIONS (FQAs)
付録4 OECD PRIVACY GUIDELINES
付録5 ITS標準化戦略提案書
付録6 Preliminary Working Item Proposal
付録7 実験データ
付録8 分科会議事録
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