本研究は、H14年度の「トラック標準化ビジネスチーム」において指摘された標準化の課題と、近年の車両走行管理や、無線LAN(Local Area Network)、DSRC(Dedicated Short Range Communication System)、RFID(Radio Frequency IDentification)等の多様な通信手段に関する技術開発動向をふまえ、車両・運転者・貨物の総合的管理を可能とするために必要とされる所要情報インタフェースの標準規格を検討し、今後の標準規格に反映することを目的としていた。
H15年度は、ITSの既存のシステムアーキテクチュアの成果をふまえ、いくつかの利用シナリオに沿って、「トラック内」インタフェースの検討を行い、標準化の検討対象領域を抽出する作業を中心に進めた。H16年度は、既存の市販事例や導入事例を詳細検討し、前年度成果である利用シナリオ別情報インタフェースの枠組みについて修正を行うと共に、多様なアプリケーションに共通のコアメッセージ部分についての標準化検討を行った。これらを受けH17年度は、コンテナ・トレーラ管理に関する事例検討を追加すると共に、共通コアメッセージの標準化検討を行い、関連する標準化の詳細動向をふまえた関連規格との整合性確保を中心に今後の課題を整理した。
1.標準化動向整理
関連する標準規格を精査した結果、関連する規格の多くがすでに国際規格となっているか、規格発行の最終段階に近い審議段階にあることがわかった。また、同時に規格相互の不整合についても確認できた。
2.標準化への提案
上記の不整合に関し、SO/TC204での標準化について以下の提案をまとめた。
(1) EDIメッセージとの整合性確保に関する提案
WG7のメッセージ規格について、データエレメントの定義にあたっては当該データ構造の記述にとどまらず、実際の適用にあたって規定すべき個別の数値、仕様をできるだけ他の標準を参照できるようすることが適切である。
(2) 車両・貨物識別コードの整合性確保に関する提案
主に車両・貨物識別の各データに関連する既存規格のうち、改善提案が必要な規格について、既存規格を精査した。
(3) WG7.2における新規提案への反映
「貨物」識別の中心としてトラックとRFIDのインタフェースを中心に検討を行う必要がある。RFIDについは、セキュリティ対策(コンテナ電子シール、コンテナ識別)、港湾情報プラットフォーム(コンテナのヤード管理)等の多様な側面で車両情報との連携ニーズが考えられる。
(4) 速度データの国際的整合性確保の提案
デジタル式タコグラフについては、関連するISO規格が策定済みであり、国内規格との整合性確保が課題として残されている。速度計に関するJIS及び関連型式指定の国際基準との整合性確保も必要である。
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