燃料電池の発電原理とは?
「水素」と空気中の「酸素」を反応させて電気を起こします。排出されるのは「水」だけの、未来を担う、クリーンなエネルギーです。
FC(燃料電池とは)
FC(燃料電池)は、今までのエネルギーとはまったく異なり、「水素」と空気中の「酸素」を反応させて電気を起こす、画期的な発電システムです。
燃料電池は、従来の化石燃料のように有害物質を排出せず、エネルギー効率にも優れているため、地球の環境問題やエネルギー問題を解決するものとして、世界中で積極的に開発が進められています。
ここでは、燃料電池のしくみや、燃料である水素についてご紹介します。
FC(燃料電池)のしくみを動画で解説を見ることができます。
FC(燃料電池)のしくみを動画でみる
燃料電池の原理
燃料電池の原理は、簡単に言えば「水の電気分解」を逆にしたものです。
「水の電 気分解」では、電解質※を溶かした水に電流を通して水素と酸素を発生させますが、燃料電池では、電解質をはさんだ電極に水素を、そしてもう一方の電極に酸素を送ることによって化学反応を起こし、水と電気を発生させます。
※ 電解質:イオンが移動することによって電流が生じる物質。電解質はイオンだけを通す性質があり、電子はほとんど通しません。
「水の電気分解」と「燃料電池」のしくみの違い
燃料電池の特長
クリーンエネルギー
水素を燃やさずに、酸素との化学反応により電気を直接取り出すため、二酸化炭素(CO2)などの有害な排出物がありません。
排出されるのは「水」だけなので、とてもクリーンです。
高いエネルギー効率
水素の持つエネルギーの83%を理論的には電気エネルギーに変えることができます。ガソリンエンジンの最高効率が40%程度なので、水素が燃料として、とても効率的であることがわかります。
燃料電池の種類
現在研究されている燃料電池は、大別すると4種類あります。作動温度や使用する燃料、発電の出力規模など、それぞれの特長を生かして利用されていますが、燃料電池自動車向けには、主に固体高分子形の燃料電池が使われています。
固体高分子形は、電解質に高分子イオン交換膜を使用。作動温度は80℃~100℃と低く、小型化しても出力効率が良いのが特長です。家庭用の定置形電源システムや自動車用などへの利用が期待されています。
燃料電池の種類と適応発電容量・用途
固体高分子形燃料電池のしくみ
平たい乾電池のように、プラスとマイナスの電極板が固体高分子膜(電解質膜)をはさむ構造になっています。これをセルと呼びます。セルのプラス極(酸素極)とマイナス極(水素極)には数多くの細い溝があり、この溝を外部から供給された酸素と水素が電解質膜をはさんで通ることによって反応が起こり、電気が発生します。1枚のセルの出力は限られていますので、必要な出力が得られるよう、多くのセルを重ねます。このセルを重ねて一つのパッケージにしたものを燃料電池スタック、またはFCスタックと呼びます。
燃料電池(FC)スタックの構造
燃料電池のしくみ
- 外部から供給された水素(H2)が、水素極で2個の電子(e-)を離して水素イオン(H+)になります。
- 水素から離れた電子は、外部回路を通って反対側の酸素極に電流として流れます。 ここで電力が発生します。
- 酸素極では、空気中から取り入れられた酸素分子(O2)が、外部回路から戻ってきた電子を受け取り、酸素イオン(O2-)になります。
- 酸素イオンは、電解質を伝って移動してきた水素イオン(2H+)と結合して、水(H2O)になります。