電動車両
電動車両には、制動時のエネルギーを回収するための回生機能が付加されています。
電動車両の燃費はこのエネルギー回生量の影響を受けるため、シャシダイナモメータを用いた試験では、回生制動を実路と同様に模擬する必要があります。
車両制御の高度化、車両の高効率化が進む中、将来にわたり燃費を公平かつ再現性良く評価するために試験法や試験機器について研究を行っています。
また、ハードウェアインザループシミュレータ(HILS)を用いてエンジン単体の回転速度とトルクを算出することで、 重量HEVハイブリッド電気自動車の排出ガス・燃費を合理的に試験することが可能なHILS法について、国際基準調和を進めています。
電気自動車やプラグインハイブリッド電気自動車の普及に伴い、AC普通充電器の利用も拡大しつつあります。
一方で充電ができない、あるいは充電が停止してしまうなどの事象も皆無とは言えず、多様な車両と充電器の間の互換性確保が重要となっています。
互換性の問題はAC普通充電器のみならず車両側や電源側が原因となることもあり、関係団体とも連携しながら安定した充電インフラ構築に向けて調査検討を行っています。
AC普通充電器の互換性評価
ISO/TC22(自動車)/SC37(電気的に駆動する自動車)およびIEC/TC69(電気自動車および電動産業車両)の国内審議団体として、 電気自動車(BEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)および燃料電池自動車(FCV)などの電動車両(EV)に関わる国際規格(ISO/IEC) および日本工業規格(JIS)の原案作成、コメント活動を行うため、FC・EV標準化委員会およびその傘下に分科会、ワーキンググループを設置し、 産官学の協力を得て活動しています。また、ISO/TC197(水素技術)、IEC/TC21(蓄電池)、IEC/SC23H(工業用プラグおよびコンセント)においても、 EV関連の国際標準化議論を関係団体と協力して進めています。
主にISO/TC22/SC37およびISO/TC197(水素技術)に対して国際標準化を推進しています。ISO/TC22/SC37/WG1(安全)ではFCVを含むEVの安全(ISO 6469)の改訂が行われ全パートとも2011年までに発行されましたが、現在(本稿では2015年7月末)さらなる改訂作業が行われています。2011年度からは第4部として衝突後の安全の国際標準化がはじまり、現在IS発行待ちとなっております。ISO/TC22/SC37/WG2(性能)ではJARIが開発した水素燃料消費量計測法がISO 23828として2008年に発行され、その第2版も2013年中に発行されました。また、ISO/TC197において、JARIのデータを基に国際提案した燃料性状の規格がISO 14687-2として2012年に発行されております。また、水素コネクタ(WG5)、高圧水素容器(WG18)についても積極的に審議に参加し、水素コネクタは世界統一規格としてISO 17268が2012年に発行されました。現在はこれらの水素関連の国際規格についてそれぞれ改訂作業に着手しており、さらに、水素品質に関連して、水素品質管理規定を日本から新規提案し、鋭意国際標準化審議を進めているところです。
主にISO/TC22/SC37およびISO/TC197(水素技術)に対して国際標準化を推進しています。
ISO/TC22/SC37/WG1(安全)ではFCVを含むEVの安全(ISO 6469)の改訂が行われ全パートとも2011年までに発行されましたが、
現在(本稿では2015年7月末)さらなる改訂作業が行われています。
2011年度からは第4部として衝突後の安全の国際標準化がはじまり、現在IS発行待ちとなっております。
ISO/TC22/SC37/WG2(性能)ではJARIが開発した水素燃料消費量計測法がISO 23828として2008年に発行され、その第2版も2013年中に発行されました。
また、ISO/TC197において、JARIのデータを基に国際提案した燃料性状の規格がISO 14687-2として2012年に発行されております。
また、水素コネクタ(WG5)、高圧水素容器(WG18)についても積極的に審議に参加し、水素コネクタは世界統一規格としてISO 17268が2012年に発行されました。
現在はこれらの水素関連の国際規格についてそれぞれ改訂作業に着手しており、
さらに、水素品質に関連して、水素品質管理規定を日本から新規提案し、鋭意国際標準化審議を進めているところです。
駆動用蓄電池と充電システムは、EVの性能、安全性、普及環境などを左右する鍵となる技術です。
JARIはIEC/TC21、IEC/SC23HおよびIEC/TC69の活動おいて、これまでにEV用リチウムイオン電池や直流充電システムなどに関して計11件の新規提案を行い、
この分野における国際標準化に積極的に取り組んでいます。
これらの内、これまでに8件 (IEC 62660-1、IEC 62660-2、IEC 62576、IEC 61851-23、IEC 61851-24、IEC 62196-2、IEC 62196-3、ISO/IEC PAS 16898) が発行し、
3件(IEC 62660-3、IEC61982-4、ISO PAS 19363)について審議を進めています。
また、電池・充電関連規格の改訂や各国からの新規提案の審議に参加し、約30件の規格案
(リチウムイオン電池パック/システム安全要件、コンダクティブ充電一般要件、ワイヤレス充電、V2G通信、軽量EV充電など)への日本の意見反映に取り組み、
EV普及推進の基礎となる国際規格の整備を推進しています。
JARI城里テストセンターの燃料電池自動車安全性評価試験棟Hy-SEF (Hydrogen and Fuel Cell Vehicle Safety Evaluation Facility)を活動拠点とし、燃料電池自動車や電気自動車などの次世代自動車の安全性に係わる研究を進めています。 得られたデータは主に水素燃料電池自動車や電気自動車の安全基準・標準化の策定、さらには事故処理に関わる安全マニュアル作成などに活用されています。
燃料電池自動車安全性評価試験棟Hy-SEF外観
四輪駆動車用シャシダイナモメータを用いて、電気自動車・ハイブリッド電気自動車・プラグインハイブリッド電気自動車などの燃費(電費)試験や燃料電池自動車の燃費試験等を含む、基本性能試験を実施しています。
4輪駆動車用シャシダイナモメータ
さらに、充放電試験設備による、蓄電池の充放電性能試験や劣化耐久試験など、蓄電池のキーとなる諸性能の評価を行っています。
また、蓄電池の安全性に関する分野では、主にリチウムイオン電池に関して、環境試験装置や熱衝撃試験装置、貫通・圧壊試験装置などを活用し、
熱衝撃試験、過充電試験、類焼試験、貫通・圧壊試験など、安全性に関わる実験を実施しています。
蓄電池貫通・圧壊試験装置
燃料電池に関しては、単セル評価装置等を活用し、膜/電極接合体(MEA)の作製や性能評価を行っています。
また、燃料となる水素に含まれる不純物の影響評価試験も実施しています。
水素の安全性に関しては、Hy-SEFに設置された、耐爆火災試験設備、圧縮水素試験設備、液圧試験設備等を活用し、高圧水素容器や燃料電池自動車に関する種々の試験を実施しています。
耐爆火災試験設備
水圧試験ピット