そもそもなぜ、トヨタがバスを? | |
乗用車2台分のスタックを搭載 | |
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乗用車2台分のスタックを搭載
期間中は各メーカーのFCVも展示
走行中の車内で、乗客からの質問に答える 加藤さん
フロントビューから
屋根の上には5本の高圧水素のタンクが積まれている
さらにバスと乗用車は、見かけほどに構造が違わないことも、理由のひとつだという。
つまり実際のバスの運行で得られるデータや経験は、そのまま乗用車の開発に適用できるのだ。
燃料電池「トヨタFCスタック」は共通で、燃料電池乗用車に1基積んでいるものを、バスには2基載せている。
このバスの正式名称は「FCHV-BUS2」。
燃料電池ハイブリッド式のノンステップ大型バスで、トヨタ「プリウス」のハイブリッド技術が応用されている。
プリウスのハイブリッドシステムでは次のようなエネルギーマネジメントが行なわれている。停車時にはエンジンがストップし、ムダなアイドリングが無い。スタートや低速走行時はエンジンの効率が低いので、バッテリーの電気を使う。通常走行時にはエンジンは最も効率の高い領域で効率優先の運転を行い、加速する時に足りないエネルギーはバッテリーからアシストする。減速でアクセルを離すと、エンジンはストップしムダな燃料消費を抑え、ブレーキなどによって減速した時には、モーターを発電機として機能させ運動エネルギーを電気に変えバッテリーに蓄える。このような高度なエネルギーマネジメントにより燃費を飛躍的に向上させるのがハイブリッド技術だ。FCHV-BUS2はエンジンの代わりに燃料電池が搭載されているが、ちょうどエンジンを燃料電池に置き換えたシステムになっていて、このエネルギーマネジメントのノウハウは、そのまま生かされている。
高圧水素を燃料とする、このバスは2002年に燃料電池(以下、FC)バスとして初めて、国土交通大臣の認定を取得しナンバーが交付された。同じタイプのFCバスが、昨年の2003年8月からは、東京駅とお台場の間を路線バスとして走っている。
この10月1日から10月29日の平日には、四谷駅~(銀座四丁目)~晴海埠頭や東京丸の内南口~(銀座四丁目)~晴海埠頭の路線を走行。
官庁街や銀座の繁華街など人通りの多い場所で燃料電池バスを運行し、燃料電池車の普及啓発を行っている。
現在、FCバスの最高速度は時速約80キロメートル。
車両前部の天井に35メガパスカル(350気圧)の高圧水素タンクを5本格納している。
ガソリンスタンドのような「水素ステーション」で、給油ならぬ「給水素」を行うのは、都内を走るバスの場合1日1回。それで約250キロメートル走ることができる。
水素は気体なので、たくさんは積めないんですよ。
満タンで走れる距離をどう増やしていくかは、今後の課題ですね。
そしてコストをどうカットしていくか。もうひとつ、二酸化炭素は出しませんが、化学反応によって水がでます。
これも寒冷地では部品などの凍結を招くので大問題です」。
これらの課題が解決するのに5年かかるのか、20年なのかは、まだわからない。
はっきりしているのは、誰かが道を拓かなければ、いつまでも向こう側へは行けない、ということだ。
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